ウェブベースの音楽制作アプリケーションの可能性

今まで、インターネットを利用した音楽制作手段がなかったわけではありません。
DAWが普及した現在、プロジェクトのデータを転送すれば、遠隔地のスタジオや自宅などどこでも音楽制作を行うことができます。
スタジオでドラムトラックを録音し、そのデータをベーシストの自宅に転送しベーシストがベースを自宅で録音し重ねる…そのような作業はもはや珍しいものではありません。

しかし、僕がここで述べているWeb2.0時代のウェブベースの音楽制作のスタイルはそれとは異なります。
従来の音楽制作のスタイルが個人・あるいはバンドメンバーなどの限られたメンバーによって作業が進められていくのに対し、Web2.0時代のウェブベースの音楽制作においては不特定多数のメンバーによって作業が進められていきます。
いわば、音楽のWikiみたいなものです。

音楽製作ツールがウェブベースになった場合の、従来のツールとの違いは下記のようなものになると考えています。

ユーザ側

リソースの再利用性の向上
リズムループなどの汎用性のある素材を共有しやすい
コラボレーションの促進
作業に必要なデータが全てサーバー上に存在しているため、他の人が手を加えやすい
また、OSやブラウザに依存しないアプリケーションを開発すれば違うOSのユーザ間でもコラボレーションしやすい
入門者への敷居の低下
ソフトウェアや機材を導入・セットアップしなくてもブラウザがあればすぐに開始できる
他のサービス等との連携
XML通信などを活用して、他のウェブページ・サービス等と連携させることができる
マスの力を利用した新たな音楽の創造
ウェブサイトを訪れた何千・何万というユーザの手によって完成していく音楽作品など、従来の一人・少人数での音楽制作とは異なる制作スタイルを実現できる
ソフトウェア開発者側

フィードバックを得やすい
実際に自分が作ったソフトがどのように制作に活用されているのかを把握しやすく、改良・機能追加に活かしやすい
バグ修正・バージョンアップが容易
従来のソフトの場合、バグ修正などで新しいバージョンのソフトをリリースしても、それがユーザの手元に届くまでは時間がかかった
勿論、これらは現時点で僕が考えている可能性であり、実際にウェブベースの音楽製作ツールの開発・研究が進むにつれ新しい可能性が見つかったり、逆に実現できなかったり効果が現れない可能性も多いにあると思います。
しかし、これらはWeb2.0時代が到来したからこそ実現の可能性が見えてきた新しい可能性であり、試してみる価値があるのではないかと思っています。